適応症&FAQ

 鍼灸の適応症とFAQ(鍼灸への疑問質問)

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鍼灸の適応症 鍼灸の適応症として下表に西洋医学の病名も便宜上表記しておりますが、東洋医学(漢方医学)では病名ではなく証(しょう)というものをたてて施術します。あらわす症状そのものに直接施術することも大事ですがその病をおこす本質を中国古典医学の考えをもとに分析抽出し施術するという方法をとります。西洋医学のような病名治療をいたしません。そのため、症状はあるのに病院の検査では異常なく病名がつかないなどという方に対応することができます。また病気ではないが何となく身体がしっかりしない方や、毎日の健康保持のために来院される方もたくさんいらっしゃいます。。

伝統的な鍼灸術が特に良い結果を出せるものがこの中にたくさんあります。
*印がついているものは説明や関連内容のページへ行きます。
呼吸器疾患 風邪ひき、風邪がなかなか治らない**、盗汗(寝汗が止まらない)、咳がでる、咳が止まらない、胸が痛い、息切れする、自汗(すこし動くと汗が出易く疲れ易い*喘息(ぜんそく)など
循環器疾患 血圧が高い、血圧が低い、動悸がする、不整脈がある、心臓神経症など
消化器疾患 食欲が無い、胃がもたれる、異常に食欲がある、口が渇く、口が苦い、むねやけする、吐き気、下痢や軟便が続く、便秘する、げっぷが多い、お腹が張る、口内炎や口角炎がよくできる*、舌にできものがよくできる、急性、慢性胃炎、慢性腸炎、潰瘍性大腸炎、慢性膵炎など
新陳代謝病 バセドウ病、甲状腺機能低下症、糖尿病、貧血など
泌尿器疾患 尿の回数が多い、夜たびたびトイレに起きる、尿が漏れる、尿の出がわるい、足が腫れる、顔がむくむ、膀胱炎、陰萎など
神経系疾患 むちうち症、めまい*、いらいらする、不眠症、夢ばかりみる、パーキンソン病やパーキンソン様症状のあるもの、肩こり*、ノイローゼ、神経衰弱、チック、腰痛**、坐骨神経痛*、肋間神経痛、頚腕症候群、三叉神経痛、顔面神経マヒ、顔面神経ケイレン、乗り物酔いする、頭痛*、頭重 *、片頭痛、脳卒中の予防と後遺症の回復など
運動器疾患 ぎっくり腰、寝違え、膝や肩・五十肩・肘などの痛み*、関節リウマチ、腱鞘炎* 、ばね指、顎関節症、足の裏やかかとが歩くと痛いなど
皮膚疾患 皮膚がかゆい、皮膚がかさつきつやがない、しもやけになり易い、手のひらや指がかぶれる*、シミ、そばかすが多くなってきた、アトピー性皮膚炎*、湿疹、にきび、じんま疹など
美容にも 当院で皮膚疾患以外で鍼灸治療を続けておられる方からも「鍼を始めてから肌がきれいになりシミや皺が少なくなった」とよく聞きます。気の巡りを良くする事で「からだの内から美しく*」しましょう、おまけのお話*
外科疾患 円形脱毛症、いぼ、おでき、痔核、痔瘻、脱肛、帯状疱疹、ねんざ、打撲、椎間板ヘルニアなど*
小児疾患 夜泣き、かんのむし、消化不良、夜尿症、チック、小児喘息、慢性中耳炎、子どもの成長がおそい、こわがりなど
婦人科疾患 逆子が治らない、つわり、がんこな生理痛、生理不順、急に熱かったり寒かったりして汗が出る、足や腰が冷える、子どもができにくい、更年期障害と言われた、子宮脱、子宮筋腫、子宮内膜症など
眼科疾患 緑内障、外斜視、いつも眼が充血している、眼がコロコロする、眼が暗い、眼がかすむ、疲れ眼、眼けん下垂、眼けん痙レンなど
耳鼻咽喉疾患 めまい、耳が聞こえない**、耳鳴する*、耳が痒い*、中耳炎、耳がふさがった感じがする*、花粉症(アレルギー性鼻炎)**、蓄膿症、鼻血がよく出る、声がかすれる、声が出にくい、へん桃炎、咽頭炎、咽喉のつかえや何か詰まったかんじがする
歯科疾患 歯が浮く、歯は悪くないのに歯の痛みがとれないなど
その他よく見られるもの 微熱がとれない、ムカムカしてなんとなく気分がよくない、原因不明の各種出血(血便、鼻血、血尿など)、足の裏がしびれる、足が頼りない、腰が曲がってきた、手があつく気持ち悪い、足がやける、足が冷える、手のひら足裏の多汗、急に歳をとった気がする、やたらと眠たい、からだがすっきりしない、やる気がしない、根気が無い、寒がり、のぼせ易い、いつも不安感がある、横になっていることが多い、だるいような痛みが続くなど
お困りの症状などにつきましてはお気軽にご相談ください。 (但し、ご来院可能な範囲の方のみとさせて戴きます。

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FAQ(鍼灸への疑問質問

世間ではまだまだ鍼(はり)灸について知られていなかったり誤解されていることが多いようです。問答形式でわかりやすくしてみました。 青色文字のものは説明や関連内容のページへ行きます。

質問1 東洋医学がよいと聞き鍼灸治療をうけたいのですが?  
回答 鍼灸といえば東洋医学と思いがちですが実際には西洋医学の理論を基にした鍼灸術と、東洋医学の古典を基礎とした伝統的な鍼灸術があります。鍼灸術のほんとうの良さと奥深い可能性は東洋医学本来の鍼灸術でこそ発揮されるものでしょう。
   
質問2 鍼はなぜ効くのですか?
回答 なぜ鍼が効くのかよく聞かれますが一言でいえば「現在のところ科学的に解明されていない」といっておきましょう。近代西洋医学が独自の考えかたで発展してきたように、伝統的鍼灸医学でもこの医学特有の「気」や「陰陽五行説」をもとにした生命観、生理観、病理観があり養生法そして治療法と一貫した体系をつくっています。
伝統的鍼灸術では病気を主に経絡という「気」の循環路の変調として捕らえそれを正してやることを目的として施術します。
   
質問3 以前鍼をうけたのですが私には鍼が効かないようです?灸をしてくれませんか?
回答 これもよく聞くはなしですが、鍼灸術というものは鍼灸家の技術の差がその効果におおきく反映されるところがあります。鍼灸の適応症でありながら技術の未熟拙劣、また経験、勉強不足などによって思ったほどの結果が出せないことが往々にしてあるものです。それ故「私には鍼が効かない」と一概に言うことはできません。
鍼が効かないから灸をすえてよいというものでもありません。鍼と灸の使われ方にも専門的には細かな違いがありますので適当に施灸しないほうがよいでしょう。使い方を大雑把に言ってしまえば、鍼は気の病(機能的病)に、灸は血の病(慢性的、器質的病)に効果が出易いものと考えてよいかとおもいます。また熱性の病には鍼のほうが、冷える傾向の病には灸が良いとみることも出来るかも知れません。
   
質問4 鍼は本当に痛くないのですか?
回答  一般に鍼をするときは筒状の鍼管という鍼より少し短い管に鍼をいれて上から叩いて鍼を入れる為このときの「刺入感」がはじめて鍼を受けるかたや、とくに恐怖心があったり、体質的に過敏なかたには耐えがたい場合が多いものです。けっして痛くない、恐ろしくないとは言えないかも知れません。
しかし「気」を扱う鍼灸術ではごく細い鍼で皮膚に軟らかく接触させてゆっくりと鍼が沈むようなかんじで刺入される捻鍼術という方法をとることが好んでおこなわれ、かつ深く刺すことも、「ひびき」と言われる鍼特有の強い刺激を与えることもあまりありません。ほとんどの場合皮膚に鍼が触るか触らないか、数ミリ程度でおこなわれ、また鍼が接近しただけでよいこともありますので驚かれるかも知れません。
刺さない鍼「てい鍼」もよくつかわれます。(※体質、病の状況、また鍼灸に慣れているかたなどでは必要に応じこの限りではないこともありますがこのときも十分のご了解のもとに施術をすすめてまいります。
   
質問5 鍼は何度もつかいまわしするのですか?
回答 使用する鍼はディスポーザブル(使い捨て鍼)です。毎回使用後には廃棄しています。鍼を使い回すことはありません。その他の器具も高圧蒸気滅菌器などを使い衛生管理に十分注意が払われています。
   
質問6 副作用はありますか?
回答 過剰に緊張していたり鍼灸の刺激量が多過ぎたりするとまれに一時的にからだがだるくなったりすることがありますが、これはしばらくたつと解消されてやがて症状の軽減をもたらします。これはからだが良くなろうとして起こす反応ですがしかしこれとてほんとうはおこらないほうがよいに決まっています。ただ鍼の副作用とは呼べないとおもいます。
西洋薬のようなおそろしい副作用はありません。
   
質問7 一回で治りますか?たくさん鍼をするとよく効きますか?
回答 よく「あそこで一発で治った」とかいう話をされるかたがありますが、それはだれが施術しても一発で治る程度の簡単な病であったと言うことです。
一般に新しい病は比較的はやく、古くなった病は治癒または改善に時間がかかるのは理解されるとおもいます。またたくさん鍼をすれば効くというものではありません。あれこれと症状が多くあるものすべてに鍼をするとそのときだけは楽になることがあるかもしれませんが、返って自然治癒力の損耗を来たし慢性状態から抜け出せないことがおおいものです。脈をみて適切な治療量を決めると良いようです。
実際には2~3ヶ所の鍼でもうこれで良いとおもうことも度々あるのですがなかなか納得してもらえないようです。
   
質問8 それではどれくらいの間隔でうければよいですか?
回答 急にぎっくり腰になったなどの新しい病は毎日短期間集中でもよいですが、慢性になったものにそうはいきません。これには3日~10日程度の間隔で、また健康管理などには月に1~2回程度の間隔で受けられたらよいでしょう。
   
質問9 電気バリをしたらよく効きそうなのでしてください?
回答 電気を流すとなにか高級でよく効くようにおもっているかたがいるようですが、単なる痛み止めや一時的にコリを緩めるだけにならないよう注意しなければならないとおもいます。凝ったところや痛いところだけに鍼をするのもそのような傾向にあるかも知れません。だんだん強い刺激と快感を求めるようになり俗にいう「癖になる」ことがよくあります。若い人や体力のある人で新鮮な病の場合は当面心配ないかもしれませんが、体質的に敏感なひとや体力のないひとでは気分が悪くなったりすることがあります。また、慢性症のひとに気持がよいからと漫然と続けていると、かえってからだの正気(治癒力)が損なわれて、なんとなく体調がすぐれず病そのものを治りにくくしてしまうことがあるので注意が必要です。慣れてきますとくすんだ顔貌などから「癖」になっている人はすぐわかるものです。その場で症状が一時的に楽になったのと、病がほんとうに治っていることとは違います。
   
質問10 からだによい鍼灸とはどのようなものですか?
回答 東洋医学本来の鍼灸術ではおからだの状態をしっかり把握して、ご自身の持つ治癒力を増強するようなやりかたをいつも忘れません。よい施術をすると、訴える症状が楽になることはもちろんですが、肌や顔のつやがよくなりじわじわと体全体が軽く爽快になってくることが感じられます。
   
質問11 どんな病に効きますか?
回答 一般にはほとんど知られていないので残念なのですがたいへん広い範囲で適応するといわれます。適応症などのページご覧ください。
   
質問12 腎や肝が弱っているといわれましたが腎臓や肝臓が悪いのですか?検査をしなければいけませんか?
回答 たとえば東洋医学でいうところの「腎」のはたらきとは、単に西洋医学でいうところの腎臓のことばかりではなく、泌尿器系、生殖器系、ホルモン代謝系、自律神経系、免疫系などの働きなども含んでいて、たいへん幅が広いのです。その「腎」の働きが、弱ったことを東洋医学で腎虚といいます。腎虚が進むと、人間に本来そなわっている生命力や免疫力の低下をきたし自然治癒力が低下するとされています。このようなことから西洋医学の検査で東洋医学でいう「腎」の状態が判るわけではないのです。
   
質問13 何か具合が悪く、お医者さんにみてもらいました。検査してもどこも悪くないといわれましたが鍼灸はできますか?
回答 「自覚症状」は東洋医学ではとても重要な情報とされます。明らかな病気が発現する前にこの医学独自の診方で手当てをすることができます。からだのはたらきのバランスを正し病を予防するという未病治の考えからみてもお勧めです。
   
質問14 どうして何度も脈や舌をみるのですか?
回答 東洋医学の脈診は西洋医学の脈診にくらべて遥かに細密で高度な感覚と経験を要求される難しいものです。脈をみることによって病の原因や病の軽重、予後、鍼の施し方を知るなど多大の情報を得ることが出来ます。とくに今施した鍼施術が適切であったかどうかなどは脈そして舌の変化でよくわかるため何度もみることになります。
   
質問15 「気」ってあるのですか?
回答 伝統的な鍼灸術では「気」をとても重視しています。この宇宙に存在するすべてのものは「気」によってかたち創られているとされ、人間も生命と活動のあるところには常に「気」が存在しており、はたらきとしては血や体液などをうごかし内臓を動かせ、からだを温め、暑さ寒さから身をまもり、汗や尿を出したりからだのなかから漏れださせないなどの作用をしているとされています。

古い鍼医書ののなかに「小鍼之要、易陳而難入。粗守形、上守神。神乎神、客在門、未観其疾、惡知其原。刺之微、在速遲。粗守關、上守機。機之動、不離其空。空中之機、清靜而微。其來不可逢、其往不可追。知機之道者、不可掛以髮。」とあります。鍼の治療というものはとても難しいもので、粗雑なやりかたでは「気」がわからない。熟練された術者がこころを研ぎ澄まして鍼をおこなうと「気」をうまくコントロールできるものだとおしえています。

実際に鍼に「気」が集まってくると温かい(熱い)感じや脈動感そしてある種の充実感がはっきりと感じられ、逆に「気」を奪うと空虚でなんとなく冷たい感覚がするものです。また今効いたなというときには術者はもちろん患者双方に心地良い感覚が共鳴し合あうこともあります。

すくなくとも術者にとって「気」は具体的なものとして感じられなければならないのです。
   
質問16 癌や難病に鍼灸は効きますか?
回答 「東洋医学で癌や難病が奇跡的に治った」などと東洋医学は神秘的医学のようにおもわれたりしますが、前にも述べたように基本的に宇宙と人体の成り立ち、しくみのとらえ方の違いから現代人にとって不思議な世界にみえるのかもしれません。科学的、理論的西洋医学だけが正しいとみるならそうかも知れません。

東洋医学ではたとえ元気そうに見える人であっても脈を診て「胃の気」という脈が無かったり「逆証」といってあらわれた症状と脈などにくい違いがあるものなどは予後がおもわしくないとみます。 反対に西洋医学的にもう何もすることが無い病人でも意外に脈診すれば「胃の気」もしっかりしていて病が快方に向かったりすることもあります。 

ただ西洋医学で予後不良とされたものは東洋医学でも予後の良くないことがおおいのも事実です。以上より癌や難病に鍼灸は効くかという答えはだいたいおわかりになるとおもいます。
   
質問17 鍼灸をするのにどんな免許がいるのですか?
回答 鍼灸専門学校・鍼灸大学・鍼灸短期大学等の教育機関で各種の医学ならびに技術の勉学を一定期間受け卒業試験に合格した後、さらに国家試験に合格しなければなりません。

巷でよくある整体、クイックマッサージ、カイロプラクティックなどのような無資格者ではありません(注意:これらはどんな立派な免許状を掲げてあっても公的な資格ではありません)。

その後も学会、研究会、講習会にて卒後教育がかなりの量必要とされます。無事国家資格を取ってもそれだけで開業するのは経験的、技術的にまず無理な世界です。


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