書庫 2020年

 当院待合室の人気本

待合室の蹲開院してからしばらくは週刊誌や雑誌など毎月入れていたのですが今は新聞くらいとなってしまいました。テレビやバックグラウンドミュージックなどもやめてしまいました。こんな「蹲」を置いて水の音を楽しんでいます。せめて来院された時間ぐらいは世間の雑踏雑音をさけてゆっくりしていただく空間、場所が創れたらよいのにとおもっています。めったに補充されない本ですが当院の待合室で今でも人気の読み物を紹介します。

近藤誠の本

一時人気だった例の本です。この本はとても皆さん関心を持って読まれるようです。そして「なんとなく気になっていたことだが医療にかかるときはあらためて考え直してみることも必要だ....」とおっしゃいます。医者と薬剤師の書いた本。

医者に殺されない47の心得 病院に行く前に、かならず読んでください。

クスリに殺されない47の心得 クスリを飲む前に、かならず読んでください。

近藤誠著 アスコム

 参考書あれこれ

伝統鍼灸治療法 毎日の臨床でたいへんお世話になってきた参考書達です。

伝統鍼灸治療法  - 池田政一 - 著

経絡治療にはじめて興味を持ったころ夢中になってこの先生の書かれた本を読んだものでした。表紙の伝統鍼灸治療法以外のところは薄くなって読めなくなってしまいました(表紙カバー無いです)が、「臨床家のための」とされているように今でも常に横に置いていて役立っている本のひとつです。治療概論、そして疾患別治療法と簡単にまとめられていますが、かなり奥が深い内容になっているかも。即使えるいまでもありがたい本です。

わかる中医学入門わかる中医学入門  - 邱 紅梅 - 著

私の中の鍼灸の世界がそれ以来大きく広がった気がする本です。やたら理屈ばかり並べる中医学がずっと好きになれず長い年月が過ぎてしまっていたのですが徳島の山田喜吉先生の勉強会にちょっとお世話になった際テキスト代わりにこの本をご紹介くださいました。たいへんわかりやすく纏められており、かつ湯液のこともほとんど知らなかったのですがたいへん参考になると思います。入門書とはいうものの、患者さんに病の状況、そして治療方針を説明する際にも大変役立っています。山田先生の仰る通りやはり表紙がきっちりと裂けてしまいました( ´艸`)

舌診と脈診の本中医臨床のための「舌診と脈診」 - 神戸中医学研究会 -

以前に購入した鍼灸のための舌診ア●ラ●ほかに比べ写真もたいへんきれいでよく纏まっていてわかりやすい。鍼灸治療の際の舌診はこれがあれば十分ではないだろうかと思っている。現在絶版になっていると聞いたのですが惜しい気がします。聞くところによると数万円の値がついているということです。 (後になって再販されているようです)

経絡治療入門書 わかりやすい経絡治療ー脈診によるはり実技の入門書ー  福島弘道著

鍼灸は科学的であるべきと最初の頃は良導絡や電気鍼の本を読みあさったものです。ところが恩師であるO先生の臨床に生徒指導に熱心に取り組まれるお姿をまじかにし、時には厳しくまた時にはこころを込めてお教えくださったこともありいつの間にかこの本に書かれてある内容の不思議な世界に引かれてゆくことになりました。そして「気」が判ることの大切さを知るきっかけでもあったようです。だがその治療理論にいつまでたっても不満があり一度離れてしまうことになります。中医学の本がちらほら出だしたころでした。だがいまでは気を扱う鍼灸術を勉強するには技術的にもとても良い入門書であると思っています。 鍼灸は学もさることながら術が勝るものではないかと思っています。

 てい鍼は「鍼」であると信じているが

てい鍼各種てい鍼は鍼のはず....

巷にはどうもこの「てい鍼」(もっと神秘的でありがたい効きそうな名称もあったりするようです)がかなり出まわっているようです。先にも書いたようにはるか古代より霊枢官鍼篇、九鍼論篇、九鍼十二原篇などにそれはあるのですが現在のわたしたちの時代にはどんなものとして存在するのだろうと少々「てい鍼」の先行きを案ずるのです。

鍼灸師以外の人でも感覚のよい方であれば「てい鍼」をつかって一時的にでも肌の張りをよくするくらいは出来そうです。しかしこれでは美顔用のローラーとかわりないかも知れません。「てい鍼」に秘められた奥の深さなど関係なくこれはもううまくすれば商売になりそうです。もしこれが鍼でないという扱いになればどうなるのでしょう。

それとは反対に専門の鍼灸師が「てい鍼」を使わなくなる、「接触鍼」をしなくなる、「置鍼しかできない」、「鍼は刺すもの」「効かなければもっと深く刺す」では本当に先行き心配です。やがて「てい鍼は」この程度のことしかできないものであるというレッテルが貼られ益々忘れ去られてゆくということになるのではないでしょうか。

 「てい鍼」の功罪?

てい鍼を使う「てい鍼」関連の情報が最近頓に多くなったようです。その使い方や呼び方にも多種多様で迷ってしまいます。刺さないのに効果があるという情報からか特に神秘性のようなものが強調されてしまうのか首をかしげたくなるときがあります。

てい鍼はほんとうに効くの?
てい鍼は本当に効果あるのですか?
どうやって使うの?
てい鍼は何が良いのですか?

こんなところが「てい鍼」の評判なのでしょうか。

とても気になるのは「てい鍼」で施術して何らかの不都合な状態になった(例えば皮膚に障害が発生したなど....)ということを耳にするのですがいったいどういうことなのでしょうか?金属アレルギーなどというものもあるのかもしれませんがかすかに接触しただけでどうしてそうなるのか不思議でなりません。これでは電車の手すりも触れないということになります。もっとも「誤治」といって証(施術の目的方針)をまちがって施術すればいくら「てい鍼」といえどそれはいけませんが、これは普通に鍼を使った時とておなじことです。ただどう考えても「てい鍼」ではそんな状態にはならないというものまであげられているように思います。

「てい鍼」は過敏、虚弱、恐怖心が強いなど精神的肉体的にデリケートなひとに鍼では強すぎるのでこちらを使う術者は多いと思います。このあたりにも何か考えられることがあるのかもしれません....。

強く皮膚を擦過すれば皮膚が弱いひとなどでは問題も起こる可能性があろうかとおもうのですがまず「てい鍼で」そんな使い方をする術者はないはず.....。

「てい鍼」には特殊で神秘的で恐ろしく不思議なパワーがあるわけではないはずなのですが....。