瀉法に関する一考 押滑瀉法?

古典的鍼灸臨床では補法瀉法に終始します。そんななか術者それぞれ自分のやりかたができるもの。ここで私が気づいた瀉法についての一方法を紹介してみます。

瀉法は難しい

鍼灸治療を始めたころは補法が難しいと思っていましたがだんだん瀉法のほうが難しく感じるようになりました。病を治すには的確な瀉法がとても重要、うまく瀉法ができたときには即症状の改善がみられるものです。しかし瀉法をしたのに思ったように邪気を取り去ることができなかったり、往々にして生気を漏らしてしまったりとなかなか難しいものです。

捻鍼術による顔面、頭部の瀉法

体感や四肢における瀉法はほぼ従来のやり方をします。顔面部や頭部への瀉法をすることもおおいものです。顔面部などは皮膚も薄く手荒い治療はしたくありません。わたしは銀鍼による捻鍼術を専らもちいております。女性患者様など顔面部の施術を楽しみにされる方もたくさんいらっしゃいます。こんな時私は一つのやり方を使うようになりました。瀉された効果がはっきりわかりとても重宝しています。

名付けて押滑(おうかつ)瀉法とでも呼んでみます

普通瀉法には下圧をかけ調整すると思うのですが、これを反対に、押し手のほうを刺し手に持った鍼に押し当てるという動作をします。押し手の下の皮膚を滑らせて鍼に持っていくことになります。そうしますと押し手は刺し手よりも生体の気に対する感覚が敏感なものですから邪が瀉される様子が鮮明にわかります。ただこの時押し手の下に意識を集中していることがとても重要になります。できれば意念を使うことがよいでしょう。顔面のような比較的浅い邪の処理にはとても効果的です。ずっと浅い邪には接触施捻瀉法術と使い分けたりもします。これを私はなんと名付けようかと一生懸命考えましたがいい名前が見つからないようです(笑)とりあえず押滑(おうかつ)瀉法?とでも言っておきましょうか。もしかしたらどこかにこの方法を書いた書物があるのかもしれませんが…。

余談:管鍼術だけでは鍼灸術の良さは表現できない

痛くないようにといきなり皮膚に鍼管をぐっと強く押し付ける、そしてポンと鍼を数ミリも打つ、皮膚の表面の気や皮膚から離れたところにまで広がる気の層を感知しないというのはもったいないと思います。押し手と刺し手の感覚を大事に育てる、やはり捻鍼術のような技術はたいせつにしなければ鍼灸術の良さは表現できないのではないでしょうか。管鍼でしか鍼ができないというのはどうなのでしょうか…。

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