便利な世の中、Web上ですばらしいかたがたくさんいらっしゃることを知ることができます。たとえば、不安障害を克服してきた過程のこと、苦しさの中からつかみ取った生き方考え方そこから気づいた知恵の世界、真剣さと苦悩と努力、そして謙虚ささえ。それは私のような施術をなりわいとする者にとってたいへん勉強になりありがたいことです。
いっぽう鍼灸に関していえば美容鍼灸というぐらい今ブームのようです。
検索すればずらっと出てきます。
オシャレな治療室を構えスタッフがまたかっこいい。
この美容鍼灸について考えてみました。
流行の美容鍼灸
いま鍼灸師になるために学校に行こうとする人のおおくはは美容鍼灸を目的に入校すると聞きます。卒後すぐに開業、高額な施術料を設定していることがおおいようです。
施鍼技術的には簡単で卒後すぐにでも可能なレベルであるとみられますし脈診や腹診なども必要ないのでしょう。
しかし顔のツボというツボ、ほうれい線にもずらっと鍼の列、顔が見えないぐらいといっては大袈裟ですが大丈夫なのでしょうか?
その治功理論とは
美容鍼の治功理論に、鍼で傷を負った生体の修復作用が肌をきれいにし鍼を深く刺すことで奥までその効果が出るとされていたりしますがこれでは何度も繰り返しケガをしないとならないことになるのではないでしょうか?
鍼は慎重に
少々お肌に自信がなくなる中年から閉経を迎えた女性などを診ていますとおからだの状態は微妙で、問診、切診、脈診と慎重に挑まなければなりません。鍼はからだに「良くも悪くも変化を与える」ものです。お顔はちょっとピンク色で血色よくとても元気に見えるのですが実は足が冷えのぼせていたと笑えないことにもなりかねません。
からだの芯からよくするのが本道
美容鍼灸はあくまでかだのなかから美しくするのが本道であると思います。それはとても難しいし根気のいる事なのです。脈診、腹診など駆使して五臓六腑が整いますと声が明るくなり、濁りも消え、肌が艶っとして不定愁訴や病も楽になる。そしてからだが締まってくるものです。最後にお顔に少しだけありがとうございますの意味も込めて鍼をする。接触するだけでも艶っと明るくなる。
何でもありなのがこの世の常
不安障害の治療にいつまでも対症療法の薬ばかり処方する、気が付けばもう抜けられない、
何かよく似ていると思いませんか。
でも世の中はいろんな需要と供給バランスがあるもの。
若い人からはもしかしたら古臭いやたら面倒なやり方だといわれそうな古典的鍼灸術を続けてきたじじいの寝言戯言といわれてしまうのが落ちなのかもしれませんが…。
この美容鍼ブームも私はそれほど長く続かない気がします。
大宇宙の中の小宇宙である人間をみるという壮大な人間観の中で行われる本来の鍼灸術の世界はとても奥深いものであります。
もういちど東洋医学(中国古典医学)的鍼灸術とはなにかに注目が集まるようになる時が来ることを願っている一人です。
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